症例紹介

椎間板ヘルニアで予後不良で一生歩けないと宣告されたワンちゃんが

■症例:M.ダックスフンド. 初診時11才.雄. 初診時体重:6.5Kg

2019年2月に他院で椎間板ヘルニアの手術後膵炎を起こし、1ヶ月間入院治療し下半身は改善しなかった。

退院の際、下半身不随状態で予後不良、一生自力では歩けなく車椅子生活となると言われました。さらに自宅でリハビリとマッサージするように話されたそうです。

飼い主さんは自宅でリハビリやマッサージするように言われて違和感を感じたそうです。(人の医療では考えられないことです)

当院には他の病院より退院の日、その足で来院されました。

初診は同年3月初めで元気、食欲もなくやせ衰えて見るからにつらそうな状態でした。

体幹や後肢の筋肉が低下してやせ衰えていました。被毛状態もパサパサで艶がなく全体状態は悪化していました。

歩行は全く不可能な状態でワンちゃんのお顔も沈鬱状態でした。

飼い主さんは、「なんとか歩けるようにして頂きたい」と、本当につらい心の思いをお話しいただきました。

飼い主さんと十分に相談をして、治療の計画を立てて治療を開始しました。

 

■治療内容:

食事療法:今迄は原材料:米、肉類(鶏.七面鳥)小麦、大麦、ビートパルプ、酸化防止剤:BHA等が含まれている炭水化物が多い食事(フード)でした。

筋肉をつけて、体力をつけるためにはタンパク質が十分な食事でなければ、治療効果も出ません。1ケ月間の長期にわたりがタンパク質20%、糖質45.5%の食事を与えられていたのです。現在の動物医療は大きな手術後も食事や栄養に気を付ける病院は殆どありません。せっかく大きな手術しても、タンパク質がかなり少ない食事を与えられていたのですから、体力がつかなく、筋肉もつかなく、栄養的に体が悲鳴をあげている状態になっており、歩けなくなっていたのです。

そのために、まず食事を変更しました。タンパク質40%、糖質20%のフードへ変更をしました。そしてお腹の状態を見ながら手作り食(肉・レバー、魚、ブロッコリー、野菜などをプラスして与えてもらいました。

 

食事だけでは間に合いませんので、当院で実践している分子栄養療法をこのワンちゃんにも行うことになりました。

まず、血液検査をして、その検査結果よりワンちゃんの体に不足している栄養素を確認しました。

血液検査は一般的には、肝臓が悪いとか、腎臓が悪い、貧血がありますなどと主に病気の原因を確認するために検査を行います。分子栄養療法は、一般の血液検査のように病気の確認もして、さらにその動物の体の栄養状態も解析できるのです。人の医療では実施している医師は増えておりますが、当院は動物の医療では、日本で初めて分子栄養療法を導入しました。

 

血液を栄養解析して、体に不足している栄養素を確認して分子栄養による治療を開始しました。ここで一言お話ししましょう。栄養療法と言うと栄養士さんの仕事と思うかもしれませんね。分子栄養療法は体に不足している栄養素を確認して、病気の体を元の状態に戻すために治療で、医師でなければ治療ができない分野なのです。西洋医療による対症療法とは異なり、体を根本的に健康な状態に戻すための治療で、対症療法に比べて根本療法とも言われております。

この度のワンちゃんには、食事の変更と一緒に分子栄養療法を開始しました。

 

入院期間が長く、ケージ内の生活も長かったため、体の筋肉が殆ど無くなっていました。そのためには週に2回の高栄養の点滴療法も必要でした。

ご自宅での栄養療法は分子栄養療法専用の高品質の栄養素を使用します。

その内容は、プロティン、アミノ酸製剤、総合ビタミン剤、消化酵素剤、乳酸菌製剤、強肝剤等を使用しました。さらにドイツの自然療法であるホモトキシコロジーによる治療も併用しました。

椎間板ヘルニアの手術したのに、1ケ月間リハビリやマッサージの治療がされていなく全く起立が出来ない状態だったのです。飼い主さんは手術すると、治ることを信じていたのです、しかし、結果は一生車いす生活と言われた退院させられました。手術はしてもリハビリをしない動物病院はとても多いのです。動物や飼い主さんにとって、歩けると信じて手術をお願いしたのですから、きちんとした治療はするべきです。

当院ではオゾン注腸法、鍼・灸療法、レーザー治療、低周波治療による治療も開始ししました。

さらに、リハビリ、トラッドミルによる水中療法、さらにスウエーデン式ドッグマッサージによる治療を行いました。

その結果、2019年3月末頃より起立可能となり、同年4月末に歩行可能となりました。飼い主さんはとてもお喜びになりました。

しかし、その後精神的に不安定な状態や、嘔吐、下痢~血便を繰り返すこともありました。さらに前立腺腫大に伴う血尿、排尿障害、頻尿が見られるようになり膀胱炎を繰り返しました。

その都度、治療により収まりますが繰り替えしの症状に飼い主様はとても心配されました。

 

それまでのトラブルは少しずつ落ち着きましたが、今度は難治性鼻炎、くしゃみ、鼻部の腫脹、原因不明の流涎など様々な症状が次々と繰り返し起きました。それでも、食欲、元気はとても良くなり、体力の改善が見られたため、前立腺腫大に伴う血尿や膀胱炎などの症状の改善を目的として、2021年4月去勢手術実施(前立腺腫大のため)しました。

去勢手術後は徐々に血尿や膀胱炎の症状は改善していきました。

しかし、下痢等の消化器症状や鼻部のトラブル等が続いて治療に対する反応が難しくなってきました。そのような状態を飼い主様は心配されておりました。

 

リハビリやトラッドミルの水中療法、ドッグマッサージ、鍼灸療法、オゾン注腸療法等は月2回続けて食事療法、分子栄養療法のサプリメントは継続しました。

 

体調的にはとても良くなっているのに、なかなか改善しない症状に対して全体のバランス、炎症、免疫等の様々な効果を期待してCBDオイルによる治療を提案しました。

2021年7月より3%CBDオイル療法を開始しました。

CBDオイルを投与始めて10日後より、流延・鼻炎の改善が見られ、次第に今までの症状が全て改善され、殆どの症状がなくなりました。

非常に元気・食欲も出て、歩行も改善し良く動き回れるようになりました。

体幹の筋肉もしっかりしてきました。

 

その後の治療は、CBDオイル、定期的にリハビリ、トラッドミル、ドッグマッサージ、鍼・灸療法、オゾン注腸法、レーザー治療と食事療法、栄養療法は継続しました。

 

19才になり、やや足腰のふらつきが見られるようになりましたが、血液検査は19才と言えない様な良い値でした。

腎機能もステージⅡでしたので、タンパク食に肉、魚、野菜トッピングの食事を毎日おいしそうに食べておりました。

 

2026年6月 19才で永眠しました。

亡くなるその日まで食欲がありました。

大きな病気や認知症にならずに生活できました。

亡くなる日、最後に飲んだのはCBD オイルでした。

健康寿命を延ばすことが出来ました。やはり栄養の力はとても大きいと思いました。

 

椎間板ヘルニアで予後不良で一生歩けないと宣告されたワンちゃん