7才のダックスフンドの男の子です。
子犬のころより皮膚のトラブルが多く、獣医師より長年飲み薬(ステロイド、抗生物質)と外用薬(ステロイド)、シャンプーが出されていました。
獣医師よりは皮膚病用の処方食が出され、一生このフードのみを食べるようにと言われました。
抗生物質とステロイドを飲ませると一時的には改善しますが、再発を繰り返し1年中
皮膚のトラブルが続くようになりました。
獣医師より、体質だから治らないと言われておりました。
飼い主さんは、抗生物質、ステロイドを長年飲ませているので、副作用が心配です。可能ならこれらの薬剤を使用しない治療を希望ますと話されていました。
血液検査ではアルブミン、尿素窒素、クレアチニン、コレステロールの値がかなり低下しておりました。体のタンパク質がかなり不足しているという検査結果でした。
その原因は獣医師より出されていた皮膚病用の処方食と考えられました。
飼い主安は、獣医師のいう事を聞いて処方食以外のフードは与えていなかったのです。処方食のタンパク質は14%でした。
獣医師あ病気については専門的に治療しますが、栄養の専門家ではありません。
処方食もワンちゃん、ネコちゃんの体の状態や栄養状態を考えて処方しないと今回のワンちゃんのような慢性の皮膚炎になってしまいことが多いのです。
このワンちゃんは栄養素の少ない処方食を長期間与えていたため、全身の皮膚病になっていました。ワンちゃんは健康な状態でも人より2~3倍ものタンパク質が必要なのです。慢性の皮膚病の場合はさらにその1.5倍から2倍以上の栄養素が必要になるのです。
皮膚は体表面を覆う、大きな臓器と考えてください。皮膚を作るためには多くのタンパク質とビタミン、ミネラルが必要なのです。皮膚への栄養素が不足すると皮膚病になることが多くなります。抗生物資とステロイドのみの治療では炎症は収まっても、栄養素が不足していると、今回のワンちゃんのように皮膚炎を繰り返す様になります。
皮膚病になった体には、健康時よりさらに多くの栄養必要なのです。
全身的な皮膚炎には、高タンパク質の良質なフードと、皮膚炎の改善と皮膚の再生のためにはさらに多くのタンパク質とビタミン、ミネラルが必要になります。
気になりましたは、まだ若いワンちゃんなのに、元気がなく怖がり、診察後はすぐにカートに戻ってしまいます。自宅でも遊ばない、散歩は嫌い、人が嫌いでとても暗い性格とお話ししていました。タンパク質、ビタミン、ミネラルが不足すると、性格、神経にも影響が出ることが多くなります。
治療:
栄養療法(食事療法、ドクターサプリメント)による治療を開始しました。
・食事療法:フードは穀物ゼロの高タンパクフードに変更、+手作り食+トッピング(肉、魚などのタンパク食)をして貰いました。
・ドクターサプリメントによる栄養療法:
プロテイン、総合アミノ酸、BCAA、総合ビタミン剤、亜鉛、EPA/DHA
オリーブ葉エキス(植物性抗菌剤、抗生物資の変わりに)
経過:
治療始め、次第に皮膚の状態改善して行きました。
5ケ月ころには全身の皮膚も改善しました。その後も栄養療法は続けて貰いました。5年経過の写真をご覧ください。とても綺麗な被毛とお顔をとても穏やかになりました。
さらに驚く事があります。とても暗い性格と言われていましたが、栄養療法を続 けていくにつれ、性格は明るく、散歩好きになり、人とのコミュニケーションもとれるようになりました。
その理由としては、蛋白質を十分とることにより、ナイアシンという栄養素が多くなり、脳のセロトニン細胞にも影響を及ぼすことになるとされています。
このワンちゃんはタンパク質やビタミン、ミネラルの十分量の補充により、皮膚の状態が改善し、さらに性格の変化が起きたのではと推察しております。
その後も食事療法とサプリメントは続け5年後には被毛も綺麗になりました。
初診
5ケ月後
5年後