13才のチワワの女の子です。
子供のころより、脱臼、子宮蓄膿症、エナメル皮腫などで手術をしました。
令和5年11月の他院での血液検査で肝臓の値が上昇し薬を服用しました。その後肝臓の数値が低下しましたので、薬の服用を中止し様子をみて、再度血液検査をしたところ再び肝臓の数値が上昇し肝臓の薬を処方されました。
飼い主さんは心配で、インターネットで肝臓用のフードを購入して与えてみました。
フードの変更後、便がゆるくなり下痢となり体重も低下してきました。
心配で、インターネットで相談した業者より当院を紹介されて来院しました。
初めて来院された日に血液検査をしました。その結果を栄養解析しました。
血液検査は一般的には、検査の値が上昇している項目を病気の原因として判断します。
例えば、肝臓の検査値が高いと肝臓病、血糖が高いと糖尿病、尿素窒素の値が高いと腎臓病と診断します。しかし、これらの検査の値が低い時は、獣医師は様子見ましょうと言い治療は殆どしません。今回のワンちゃんは尿素窒素の値は6.7mg/dlという値でした。大体のワンちゃんは尿素窒素は22~24くらいあります。
今回のように尿素窒素にかなり低下が見られたことの意味は、体のタンパク質は非常に低下していることを示します。高年齢のワンちゃんにとり、体のタンパク質が低下していることは、免疫も低下しいろいろな病気になる可能性があり非常に危険な状態になっていることを示します。同じ血液検査で、肝臓の検査の値も上昇が見られました。
治療:
まず、現在与えている食事の変更を提案しました。
特に、原材料が良質で、多くの添加物の無いフードが必要になります。特にタンパク質は動物性のタンパク質を中心にタンパク質量の多いフードを選択しました。
今回のように体のタンパク質がかなり低下している場合は、単にフードの変更のみでは無理なのです。少し難しい話にはりますが、食物が胃より腸で消化されて肝臓に運ばれ、肝臓でタンパク質はアミノ酸となり、体中に運ばれて行きます。肝臓でアミノ酸になる際にはビタミンB群が必須になります。
今回のワンちゃんにはビタミンB群とミネラルを含む栄養療法用の総合栄養剤と、肝臓の薬、さらにアミノ酸を含むサプリメントをお出ししました。
1ケ月後に血液検査を行いました。
血液検査の結果は改善し、尿素窒素も肝臓の検査も良好になりました。
フードと総合栄養剤は続けていくことを提案しております。