〇〇動物医療センターで抗がん剤による治療を行ったが、嘔吐、血便、チアノーゼで一般症状の低下して治療困難となり、余命宣告されて来院しました。
飼い主さんが、来院時に「高濃度ビタミンC点滴」をしてくださいとお話されました。
診察をするため、診察台に乗せようとしましたが、自分では立つことが出来なく、手を添えてあげました。呼吸も荒く、舌の色も紫色でした。
胸部レントゲン検査では、心臓が胸腔一杯に大きくなっておりました。胸部エコー検査で、心房に4×2.3cm大の腫瘍(血管肉腫)がありました。体重7.8Kgのワンちゃんの心臓に
このような大きさの腫瘍があるのですから、とても苦しい状態になっておりました。
胸部レントゲン検査:
治療:
初診時より、飼い主の希望で高濃度ビタミン点滴療法、マーヤーズ・カクテル(高栄養点滴療法)、オゾン注腸法、ホモトキシコロジー(ドイツの自然療法)、ホメオパシー、冬虫夏草、乳酸菌製剤等の治療を開始しました。
点滴を終了した、治療直後に舌の色が改善して元気で走り回りました。飼い主さんと病院スタッフはとても驚き奇跡が起きたという気持ちが一杯になりました。
このワンちゃんは以上の治療を週2回行いました。食欲が改善してきたので、高タンパク食のフードに変更しました。医療用サプリメントとして、プロテイン、アミノ酸、BCAA、グルタミン、総合ビタミン剤、持続性ビタミンC、抗酸化作用のあるミネラル類、CoQ10、ビタミンA、EPA/DHA製剤等を併用しました。
その後、3ヶ月間はとても良好な経過を得られました。
ある日、お散歩に行くため、リードを持ったら、ワンちゃんはとても興奮して走り回りました。その後、急に倒れてしまいました。急性心不全でした。
食欲や体の状態は改善しておりましたが、心臓の血管肉腫は胸腔内を占めておりましたので、激しい運動や興奮は避けてくださいとお話しておりました。しかし、散歩が大好きなワンちゃんでしたので、散歩のリードに興奮してしまったのでしょう。
急に亡くなったことは、とてもショックで悲しいです。しかし、治療の限界と余命宣告されていたのに、死亡の当日まで食欲もあり、普通の生活が出来、十分なQOLが得られたことに、飼い主はとても満足されておりました。