症例紹介

ゴールデン・レトリバー.肝臓腫瘍.避妊雌.13才

肝臓腫瘍で肺転移あり。肝臓腫瘍は10cm大の大きさでこれ以上の治療は出来ないと言われ転院して来ました。初診時は呼吸がとても荒く、食欲・元気が全くなく抱きかかえられて来院しました。顔はむくんでおり、自力で歩くことは出来ませんでした。

 

その他の症状として、尿漏れがあり、椎間板ヘルニアにより歩くことにも問題がありました。

 

長年、アトピー皮膚炎があり、定期的にシャンプーをしておりましたが、改善しませんでした。飼い主さんは、他院で見捨てられたため、何とかしてくださいと遠いご自宅より、時間をかけて来院しました。

 

治療:

高濃度ビタミンC点滴療法を中心とした治療をすることになりました。体力の低下があるので、マイヤーズ・カクテルという高栄養の点滴を併用しました。さらに、オゾン注腸法、ホモトキシコロジー(ドイツの自然療法)、総合ビタミン剤、持続性ビタミンCなどのサプリメント、ホルミシス療法も併用しました。

今回のワンちゃんは食欲がなく、体調もかなり低下しておりましたので、糖質の少ないタンパク質の多い缶詰めを勧め、さらに、ご自宅で肉と野菜、トーフなどをスープ状にした、手作食も作ってもらいました。老齢の動物にはドライのみの食事ではなく、十分に水分の入った食事を勧めます。

 

経過:

初診時は自力で立てなく、飼い主さんに抱き抱えられて来院されましたが、治療が終了後には立ち上がりました。ご自宅に戻り、駐車場より、緩やかな坂がありましたが、そこをゆっくりと玄関まで歩いたそうです。そして夕食を少量ですが食べてくれました。

 

治療の初めは1週間に2回より始め、治療が進むにつれて、呼吸状態は改善し、食欲も改善しました。散歩が出来るようになり、坂道も登れるようになりました。顔面のむくみも改善しました。今まではアトピーのため、1週間に2回はシャンプーしても皮膚の掻痒と臭いも強かっのですが、治療が進むにつれて、皮膚の掻痒や臭いも改善しました。

 

このワンちゃんは上記の治療で今まで長年悩んでいた多くのトラブルも改善しました。

その後、経過を見ながら、通院回数を延ばしました。

 

 

初診の時に飼い主さんより、「もう一度、自動車で旅行したい」という願いも叶いました。

 

治療後1年半程たって、朝の散歩を終えて、帰宅し食事を食べました。食後甘えて飼い主さんの膝に頭を乗せて来ました。いつもの甘えなので飼い主さんは優しく頭をなぜてあげました。おとなしいなと思い、確認しましたところ息をしておりませんでした。飼い主さんに頭をなでられている間に、眠るように天国へ旅立ちました。

 

肝臓に腫瘍は残っておりましたが、大きくならず十分にQOLの得られる生活を送ることができました。飼い主さんは十分に満足しておりますと話されておりました。

 

ゴールデン写真

犬の癌 ゴールデンレトリバー