胸部椎間板ヘルニアの外科治療

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胸部椎間板ヘルニア症の外科治療

1)、8歳令のミニダックスです。他院でステロイド治療が施されましたが、治癒せず紹介された症例です。両後肢の固有位置感覚、飛び直し反応、踏み直し反応の消失が認められ、また右後肢は浅部痛覚の消失を認めました。前肢の固有位置感覚には問題はありません。歩様を見ると両後肢共に完全に麻痺を呈しています。  
 
2)、3)、4)、MRI矢状断面図,冠状断面図、横断面画像です。
胸椎(T)12―13間で左腹側から重度な脊髄圧迫が認められます。椎間板物質は殆ど腹側から突出し、さらに片側に偏っている場合が多いので脊髄造影+MRIの検査を実施する事により逸脱した側から正しいアプローチが可能となり、OP時に逸脱した髄核を正確に観察し,さらに、ほぼ完全に除去する事が可能となります。手術はT11-T12、T12-T13,T13-L1までの左側三椎弓切除が行われました。
  胸部椎間板ヘルニア症の外科治療
 
胸部椎間板ヘルニア症の外科治療   胸部椎間板ヘルニア症の外科治療
 
5)、当院では通常、術後2日目からリハビリを開始します。始めは後肢を支えて四肢で立たせる練習を一日10回前後(1回、1-2分程度)行い、まず四肢でしっかり立ち止まれる訓練をします。  
 
6)、術後10日目です。左側後肢の不全麻痺がまだ残っていますが、ある程度、四肢で立つ事が出来るようになったら滑らない場所でゆっくりと四肢での歩行練習を1日5-10回(1回に1-2分程度)行います。いろいろ素晴らしいリハビリ運動、特に水中でのリハビリ運動は有効ですが、その欠点は人と動物がそれを長続きし難い事です。  
 
7)、術後20日目です。左後肢の不全麻痺もかなり改善が認められます。  
 
8)、術後30日目です。わずかに左後肢の不全麻痺が残っていましたが本日で治療は終了です。  
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